肩のインナーマッスル:腕の挙上4

背骨と肩甲骨をつないでいるのが菱形筋というインナーマッスルです。

また、厳密に言うとインナーマッスルではないかもしれませんが、背中を広い範囲で覆っている僧帽筋という筋肉も、肩位置を調節するのに重要な筋肉です。

今回ご紹介するトレーニング法「バックハンドプッシュ」では、この菱形筋・僧帽筋を鍛えることになります。

菱形筋・僧帽筋の構造と働き

内側の筋肉、菱形筋から説明しましょう。
まずは左の図、を見てください。菱形筋は背骨と肩甲骨の間をつないでいる筋肉です。

菱形筋・僧帽筋の構造と働き
※機能解剖学ソフトウェア「解体演書」の画像を加工して使用しています。

さらにその上を大きく覆っているのが、真ん中の図にある僧帽筋です。
(真ん中の図では菱形筋が僧帽筋に隠れて見えなくなっています。)

今回の筋トレでの筋肉の動きは、一番右の図で表しています。
オレンジの矢印が筋肉の収縮する方向です。

菱形筋・僧帽筋ともに肩甲骨と背骨の距離を縮める方向に収縮するので、結果として肩甲骨が青い矢印の方向に引き寄せられていくことになります。

バックハンドプッシュ

それではトレーニングの方法を説明しましょう。

バックハンドプッシュはその名のとおり、体の後ろに向かって手で物を押すような動作によってインナーマッスルを鍛えるトレーニング種目です。
(当サイトでネーミングした名前なので、一般に通用するかどうかは謎です(笑)。)

STEP1

まず写真のように床にうつ伏せに寝て、写真のように手の平を上に向けた状態で、腰の部分におきます。

バックハンドプッシュ ステップ1

首は鍛える方の肩とは逆に向けておくようにして、できるだけ全身をリラックスさせておいてください。

STEP2

準備ができたら、手のひらを体の後ろ側に向かって押すようにして上げていきます。

当然ヒジも上がってしまうと思いますが、意識は手に集中して「後ろに向かって押す」つもりで動作を行ってください。

バックハンドプッシュ ステップ2

そして腕を持ち上げた姿勢で筋肉に力を入れたまま4~5秒姿勢をキープします。

その後は腕を下ろしてSTEP1の姿勢に戻り、一度筋肉の力を抜いてリラックスしてから2回目を開始してください。

肩関節が硬かったり、筋力バランスが崩れている人は、もしかしたらほとんど肩が上がらないかもしれません。写真の通り、管理人も腕を微妙に体から浮かせるくらいが限界でした(涙)。

また、この種目は、肩関節のバランスが悪い人、怪我の経験がある人にとって肩に痛みを感じやすい種目でもあります。

痛みや違和感がある場合は絶対に無理してトレーニングを行わないでください。

この種目を行う上での注意点

バックハンドプッシュを行うに当っての注意点は以下の通りです。

なお、初めてインナーマッスルのトレーニングを行う方は、「インナーマッスル基礎知識」「トレーニングの前に」のコンテンツを必ずご覧下さい。

動作の速度について

特に菱形筋・僧帽筋に負荷がかかっているのは腕を持ち上げた状態、つまり4~5秒姿勢をキープしている時です。

筋肉の動きを意識するには、腕を下ろす動作に1秒くらいかけてややゆっくり行うようにしてみてください。

リハビリ・トレーニング

管理人のように肩が硬い人、痛みのある人は、バックハンドプッシュで自分の腕を持ち上げるのも困難だと思います。

そんなときは、下の写真のようにまず「後ろ手で壁を押す」ところから始めてみてください。

バックハンドプッシュのリハビリ・トレーニング

腕もあまり深く曲げすぎないようにすれば、肩の関節に負担がかかりにくくなります。

正統派のフォームと全く同じというわけにはいきませんが、リハビリとして有効な方法だと思います。

セットの途中で力を抜くこと

普通の筋力トレーニングでは「セットの途中で筋肉を休ませてはいけない」というのが基本です。

しかし、バックハンドプッシュを行う場合は一回ごとに筋肉を休ませた方がアウターマッスルが運動に参加しにくくなり、よりインナーマッスルを効率よく鍛えることができます。

負荷の強さとセット数

20~30回が目標回数ですが、ほどよい疲労を感じる程度の回数を1セットとしてください。
標準的なセット数は2~3セットです。

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