肩のインナーマッスル:腕の挙上3

背骨と肩甲骨をつないでいるのが大菱形筋と小菱形筋という2つのインナーマッスルです。

今回ご紹介するトレーニング法「テークバック」では、この大菱形筋・小菱形筋を鍛えることになります。

大菱形筋・小菱形筋の構造と働き

まずは左の図、筋肉の構造から行きましょう。

大菱形筋・小菱形筋は背骨と肩甲骨の間に位置していて、その名の通り背後から見ると菱形になっています。

大菱形筋・小菱形筋の構造と働き※機能解剖学ソフトウェア「解体演書」の画像を加工して使用しています。

次に右の図、オレンジの矢印が筋肉の収縮する方向です。
大菱形筋・小菱形筋が収縮すると、肩甲骨が背骨の方に引っ張られて行く力が生まれることが分かるでしょう。

大菱形筋・小菱形筋は厳密に言えば別々の筋肉ですが、今回紹介するテークバックというトレーニング種目では、とりあえず大小の菱形筋が一緒に働くと考えておいてもOKです。

テークバック

それではトレーニングの方法を説明しましょう。

「テークバック」というのは「takeback」、スポーツなどで腕や足を振りかぶる動作をテークバックと言いますが、腕を後ろに引く動作によってインナーマッスルを鍛えるトレーニング種目です。

STEP1

まず写真のように床にうつ伏せに寝て、鍛える筋肉の側の腕を横に出して、ヒジを直角に曲げます。

テークバック ステップ1

首は反対側に曲げておくようにしてください。そうすることで胴体部分をひねって腕を上げてしまうことを防止できるのです。

STEP2

次に、肩甲骨を背骨の方に引き寄せるようにして、ヒジを持ち上げます。
あくまでも「手」を持ち上げるのではなく、ヒジを体の後ろに引くつもりで動作を行ってください。

テークバック ステップ2

写真ではあまりヒジが持ち上がっていませんが、これは管理人の体が硬いからです(笑)。
肩に痛みや違和感を感じない範囲でできるだけ高く持ち上げて構いません。

ただし、ヒジを持ち上げた時に肩に痛みを感じる人は、絶対に無理してトレーニングを行わないでください。

ヒジを持ち上げた姿勢で筋肉に力を入れたまま4~5秒姿勢をキープして、その後腕を下ろしてSTEP1の姿勢に戻ります。

次に、一度筋肉の力を抜いてリラックスしてから2回目を開始してください。

この種目を行う上での注意点

テークバックを行うに当っての注意点は以下の通りです。

なお、初めてインナーマッスルのトレーニングを行う方は、「インナーマッスル基礎知識」「トレーニングの前に」のコンテンツを必ずご覧下さい。

動作の速度について

菱形筋に負荷がかかっているのは肩を後ろに引いた状態、つまり4~5秒姿勢をキープしている時ですから、特にこの時間に神経を集中して筋肉の収縮を感じてください。

そして筋肉の動きを意識するには、ヒジを下ろす動作に1秒くらいかけてややゆっくりと行うのが効果的です。

肩やヒジの角度について

テークバックでは肩・ヒジの角度を約90度に保ち、ヒジから先の前腕部分に無駄な力を入れないことが重要です。

テークバックと肩・ヒジの角度

負荷が他の筋肉に移らないように、力の入れ方と腕の角度に注意してください。

セットの途中で力を抜くこと

普通の筋力トレーニングでは「セットの途中で筋肉を休ませてはいけない」というのが基本です。

しかし、テークバックを行う場合は一回ごとに筋肉を休ませた方が、アウターマッスルが運動に参加しにくくなり、より前鋸筋を効率よく鍛えることができます。

負荷の強さとセット数

20~30回が目標回数ですが、ほどよい疲労を感じる程度の回数を1セットとしてください。
標準的なセット数は2~3セットです。

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