肩の障害とインナーマッスル

「インナーマッスルを鍛える理由」では、インナーマッスルとアウターマッスルの筋力バランスが崩れると、障害の原因となることを説明しました。

今回はその具体的な例として、野球のピッチャーなど肩を使うスポーツ選手がなりやすいインピンジメント・シンドローム(ぶつかり症候群、はさまり症候群)について簡単に解説してみましょう。

なお、普通に生活していて肩が上がらなくなる四十肩・五十肩も似たようなしくみで起こる症状なので、スポーツを行わない人もぜひ参考にしてください。

人間の肩の構造

下の図は、人間の肩の骨格の構造をあらわしています。

肩の骨格と関節の構造

そしてオレンジ色の線がインナーマッスルです。
人間の関節は骨同士がガッチリ固定されているわけではないので、このインナーマッスルが腕の骨と肩の骨の位置を調節する働きをしているわです。

オレンジ色の線(インナーマッスル)が縮むと、腕の骨が肩の骨に近づく力が発生することが分かるでしょう。
(実際には骨格をつなぐ他の結合組織も存在していますが、今は説明に不必要なので省略しています。)

そしてその上に、ある水色の太い線がアウターマッスルです。
ちなみにこのアウターマッスルは、三角筋という名前です。

薄い水色の矢印は、肩の関節が動く時の様子を表しています。
三角筋が収縮する事によって、腕の骨は上のほうに持ち上がって行きます。

このときインナーマッスルは適度な力で腕の骨の根元を固定しているので、回転軸が安定して、スムーズに腕を上げることができるのです。

インピンジメント・シンドローム

次に、インピンジメント・シンドロームの肩の動きです。

正常な時と同じように三角筋が収縮して腕の骨が上に持ち上がっていきますが、このときインナーマッスルの力が弱いと腕の骨が正常な位置に保たれず、上にズレていってしまいます。

関節の軸がズレると骨や筋肉がぶつかり合ったり、挟まったりする場合があります

すごく極端に言えば、関節が半分外れたような状態になってしまうのです。

そうすると、腕と肩の骨がぶつかったり、2つの骨の間に他の筋肉が挟まったりして痛みや炎症が発生する事になります。

これがインピンジメント・シンドロームの正体です。

アウターマッスルの筋力が強すぎたり、逆に老化などによってインナーマッスルの力が弱くなって筋力バランスが崩れると発生しやすくなる症状です。

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